
VideoVerseは2025年9月、Minute Mediaによる2億5000万ドルの買収を発表しました。クリッピングサービスとして成長してきた同社にとって、スタートアップの成功例と受け止められていました。しかし、発表から1年足らずで取引は崩れ、投資家は分配金を待つ一方、創業者Vinayak Shrivastav氏は複数の法廷闘争の中心に立たされています。
Minute Mediaは5月、VideoVerseとの契約を終了すると表明しました。同社は、VideoVerseの説明に重大な不一致が見つかったとしています。買収後も両社は別法人として運営されていたとされ、契約関係の整理も進んでいませんでした。
争いは、買収代金の行方だけではありません。Bluestone Capitalは、VideoVerseが投資条件に違反し、買収益の支払いを拒んだとして提訴しています。別の債権者は、買収後にShrivastav氏が借りた6400万ドルの回収を求めています。訴状では、買収時に実際の条件を反映しない文書が使われたとも主張されています。
さらにVideoVerseのCOOは、ローンや株式買い戻し契約に自分の署名が偽造されたと訴えています。Lingottoとの5,500万ドルの構造化融資でも、提出文書の偽造や銀行残高のスクリーンショット捏造が疑われています。
VideoVerseは、長尺映像を短いクリップに自動編集するAI搭載ツール「Magnifi」で知られ、Indian Premier LeagueやFIFA+、Nippon TVなどの顧客を抱えていました。Minute Mediaは、この分野を米国市場へ広げる狙いがあったとみられます。
しかし、複数の訴訟で証言や主張が食い違い、何千万ドルもの資金が不足していることだけが明らかになっています。デューデリジェンスの限界と、スタートアップがなお信頼に大きく依存している現実を示す事例になりました。

